屍病
ふたりの喧嘩に、私だけではなく、お弁当を食べていた男の子も驚いたようで。


チラチラと私に助けを求めるかのようにこちらを向いている。


「だ、大丈夫。大丈夫だよ」


そんなありきたりの言葉しかかけられなくて、情けなくなってくる。


「桐山も雄大も落ち着いて話そう。私達を追ってきたイーターに、高下が殺された。なんとかイーターは全員殺せたけど、厄介なやつらが転がり込んで来たんだよ」


「はぁ? 厄介なやつら?」


殴られた頬をさすりながら、桐山が真倫ちゃんを睨み付けるように見る。


「うん。私達がイーターに襲われてても助けようともしてくれなくて、全員殺した後に学校に入ってきたんだよ。その……不良というか、とにかく嫌な人達だった」


高下の遺体を踏みにじったことに対する怒りが、私の口から飛び出した。


自分達以外はどうなっても構わないというのが、その言動から読み取れる。


「そうそう。食事は私達が用意しろとかね、偉そうだったしムカついたよね。絶対に渡してやるもんか」


「はぁ!? 俺達が命懸けで取ってきたメシを渡せってか!? どこのどいつだよ、そんな舐めたこと言うのはよ!」
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