屍病
その桐山の言葉に、ドクンと心臓の鼓動と共に、冷たいものが一瞬全身を駆け巡るのがわかった。


「死ぬって……どういうことだ。同じ人間だ、俺達を殺しても何の得もないだろ」


「違う! あの人はそういう次元の人じゃねぇんだよ!山中竜也は……自分以外は物としか見てねぇ、とんでもねぇクズ野郎なんだよ!」


どうして桐山がそんなことを知っているのか……いや、私達が知らない話を、桐山が知っているという時点で、悪い意味で有名なんだろうなというのがわかる。


音楽室の椅子に座り、桐山の話を聞く。


「これは聞いた話なんだけどよ。あの人がこの中学校に通ってた三年間で、自殺者が何人出たか知ってるか?」


「い、いや。知らない。一年に1人として……3人とか?」


雄大が答えると同時に、桐山が首を横に振った。


「7人だよ。三年で7人も殺してるんだ。本当に自殺かどうかはわからないけどよ。中には自殺を装って殺したやつもいるんじゃないかって噂だ。まあ、悪い噂はこれだけじゃねぇけど、話すとキリがないんだよな」


もしもその話が本当だとすると、冷静に考えてとんでもない人が侵入してしまった。


外だけでなく、学校の中にも敵がいるということになるのだろうか。

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