屍病
「今の声……桐山?」


「な、何かあったのかな」


私をいじめているグループの人達だから、もしも今の地震で何かがあったとしても、どうでもいいんだけど。


何が起こったのかは少し気になった。


「ちょっと見に行ってみる?」


「え? ああ、うん」


地震で何かがあったにしては、来るなってどういうことだろう。


真倫ちゃんと一緒にそこが見える場所まで走ると、そこには、私達の想像を絶する光景が広がっていたのだ。


高下と茂手木、そして桐山が必死の形相でこちらに向かって走ってくる。


「な、なんなのよあいつらは! いきなりおかしくなって……」


今にも泣き出しそうな顔で、高下が混乱気味に声を出した。


そして……木の下で、肌が灰色の、口が大きく裂けて鋭い牙が並ぶ人達が……畠山と前田を囲んでいたのだ。


「く、来るなよ! 来るなって! うわ! 触るんじゃねぇ!」


「いってぇ! 離せ! 離せ!ああっ!」


あっという間にその灰色の人達に掴まれた前田。


お神輿のように担ぎ上げられて……そして。


灰色の人達は、前田の身体に群がり、噛み付き始めたのだ。
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