屍病
命を奪う者
眠りに落ちて、どれくらいの時間が流れただろう。


目を覚まして起きても、辺りは真っ暗だからわからない。


「随分眠った……のかな? 皆は起きてる?」


身体を起こして音楽室の中を見回しても、まだ誰も起きていないようで。


もうひと眠りしようかとも思ったけど、眠気もなくて眠れそうにない。


そう言えば、お弁当が入っていた買い物かごに、他にも色んな物が入ってた気がする。


手当たり次第にかごに入れたんだろうな。


何が入っているかなと、真倫ちゃん手を解き、買い物かごに近付いた。


「汗ふきシートに髭剃り、マスクにリップクリーム……」


必要、不必要関係なく、本当に目に付いたものなんでも入れたと言う感じがする。


その中で出てきた歯ブラシ。


「あ、歯ブラシ! 良かった、口の中が何だか気持ち悪かったんだよね」


寝る前に、手洗い場で指で口の中を洗ったものの、どうにも気になっていたからこれは助かる。


「ふぁ……あぁ? どうした芹川、腹減ったのか?」


私が買い物かごを物色していると、桐山が目を覚ました。


「え? まだお腹は減ってないけど、歯ブラシがあったから歯磨きしようかなと思って」


「ふーん。生きるか死ぬかって時に、歯磨きが必要かね? で、でもまあ、口臭は気になるよな」
< 111 / 238 >

この作品をシェア

pagetop