屍病
慌てて階段の方を向くと、電気が付いている。


そして、キュッキュッという、廊下と履物が擦れる事が、階段を上ってこちらに近付いて来ているのがわかったのだ。


「な、なに……イーター?」


もしもイーターなら、まだ音楽室で寝ている皆に知らせないと。


慌てて歯ブラシを手洗い場に置き、階段へと移動した。


柵に手を掛け、階下を覗き込んで見ると……。






「ったくよ、あいつらどこに行ったんだ? 俺達のメシも用意しねぇでよ」


「竜也ぁ、私もう腹ぺこだよ。どうする? こんなとこにいないでどこか別の場所に行く?」






イーターじゃない。


イーターじゃないけど、山中竜也と風雪だ。


あの人達、暗いからって電気を点けてるの!?


「で、電気を消して! 早く!」


イーターに見つかりたくない一心でそう叫んで、階段の近くにあったスイッチへと駆け寄った。


そして、「階段」と書かれたスイッチを切り、階段は再び闇に包まれた。


「上にいやがったか! いきなり電気を消すんじゃねぇよ! ふざけやがって!」


直後、階段に響き渡る山中の怒鳴り声。


せっかく今までこの学校に隠れていたのに、このふたりのせいでどんどんおかしくなっていくような気がした。
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