屍病
「あーあ、竜也は女の子にも容赦ないね。ま、それよりお腹空いたから、早く何か食べたいんだけど」


遅れて風雪が到着し、当たり前と言わんばかりに倒れている私に要求をする。


私が電気を消すことを知って、風雪が下の階に残ってスイッチを操作していたんだ。


その間に山中が私を捕まえる。


単純な作戦だけど、この状況では最大限の効力を発揮する。


イーターが来るよりも、自分の欲望の方が大事だというのがハッキリとわかった。


この人達がいたら……どの道私達は死んでしまう!


「おいコラ、クソガキ! さっさとメシを用意しろや! テメェで出来ねぇなら、テメェの仲間にさせろ! 仲間はどこにいやがる!」


床に転がり、苦しむ私にさらに一発蹴りを入れた山中。


「あぁっ!」


小さく、そう叫ぶことしか出来なかった。


そんな中で、「キィィ」という、金属が擦れるような音が聞こえた。


「なんの騒ぎだ? 芹川、あまり騒ぐとイーターに……」


山中の声が聞こえて目を覚ましたのか、音楽室のドアを開けて雄大がそう呼び掛けて来た。


「そこにいやがったか! 忘れてねぇだろうな! 俺達のメシを用意しやがれ!」
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