屍病
「あ、あいつらが階段の電気を点けて……だから私、イーターが集まって来ないように消したんだよ。そしたら……」


悔しくて涙が出る。


皆、必死に生きようとして、茂手木だって高下だって死にたくなかっただろうに死んでしまって。


それなのに、自分達だけが良ければそれでいいといったあのふたりに、いいようにされて悔しい。


「あいつら……愛莉、立てる? 音楽室に戻ろう。あいつらもいるけど、いざとなったら殺してでも止めないと」


真倫ちゃんに肩を貸してもらって、なんとか立ち上がる。


階段の電気を消して、音楽室に向かった。


これは……高下達から受けたいじめとはわけが違う。


あいつらは、自分達が良ければ人さえ殺しかねないよ。


それが元の世界にいた時からなのか、それともこんな世界になってしまってタガが外れたのかはわからないけど。


私達にとっては、イーターと同じくらい……いや、もしかするとイーターよりもタチが悪いかもしれない。


真倫ちゃんに支えられ、音楽室に入ると、山中と風雪は買い物かごの中の食べ物を物色していた。


真倫ちゃんと雄大、そして桐山が命懸けで取ってきたお弁当が……こんな悪人に奪われようとしている。
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