屍病
「ああああっ!! 痛い痛いっ! やめてくるぇ……あふっ」
鋭い牙が、爪が、前田の身体の至る所に食い込む。
柔らかい腹部が裂かれ、中からブルンとした内臓が地面にこぼれ落ちた。
それを掴み、口に運ぶ灰色の人達。
腕に、足に、首に噛み付いて、前田はビクンビクンと身体を痙攣させて食べられる。
「ま、前田……う、うえっ!」
言葉を失って立ち尽くす女子の横で、桐山が今まで食べていた物を嘔吐する。
「い、嫌だ!! 死にたくない死にたくない! 助けろよ、お前ら!」
私達を見て泣きじゃくる畠山を、私達はどうすることができただろうか。
灰色の人達に腕や脚、そして首を掴まれて。
ギリギリと捻られていった。
「あぶぇ……だ、だずげ……ぶぇ」
首が、手足が、ありえない角度まで回される。
ボキボキと気味の悪い音を立てて、それでも灰色の人達は手を休めることもなく捻り続ける。
いつ、畠山は死んだのかわからない中で、捻り続けられた首と手足は、血を噴き出しながら胴体から引き離されて、胴体が地面に落下してビクビクと動いていた。
「こ、こんなの見ちゃダメだ愛莉」
慌てて私の視界を塞ごうとするけど、もう見てしまった。
一体……何がどうなってしまったの。