屍病
しばらくして、食事を終えたふたりは、椅子にもたれて満足そうにし始めた。


「ふぅ。冷たいメシなんて最低だけどよ、まあ腹は膨れたか」


半分以上残っている唐揚げ弁当にはそれ以降手をつけもせずに。


「あの……山中さん? 出来ればその唐揚げ弁当を俺に……」


「桐山、お前にプライドはないのか」


よほど唐揚げ弁当を食べたいのか、それともお腹が空いているのか、桐山が物欲しそうに見詰めているけど、雄大が呆れたように止めた。


部屋の中が騒がしくて目を覚ましたのか、大河くんが目を擦りながら隣に寝かせていた赤ん坊の頬を撫でた。


「あぁ? こんなもん食いてぇのかよ? よし、3回まわって『ワン』って鳴いたら考えてやるよ」


そんな条件を誰が飲むっていうんだろう。


いいように使われて、奴隷だと言われて。


それで犬の真似をしろ?


「俺は……やる!」


桐山のその言葉に、驚いたのは私だけじゃなかった。


雄大も真倫ちゃんも、「えっ!」と声が出たほどだ。


「な、何を考えている桐山! お前は人間としてのプライドを捨てるのか!? 考え直せ!」


「そうだよ! 何もそこまでしなくても!」
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