屍病
何が原因とか、そんなことまではわからないけど、大河くんが抱える赤ん坊はすでに生命活動を停止していた。
「赤ちゃん……死んだの?」
大河くんの寂しげな声が、うるさい音楽室に響いたようで。
口論していた二人も、それが聞こえたのか喋るのを止めてこちらを向いた。
雄大も桐山も、驚いた様子で。
山中はその場に屈んで、顔を手で覆いブツブツ何か言っているけど。
「え? 死ん……え? 嘘だろ?」
桐山も信じられないのか、オロオロとうろたえている。
医者もいない、親もいない。
食べ物もベッドもない状況で、子供達だけで面倒を見ること自体に無理があったのかな。
それにしても、こんなに早く死んでしまうなんて。
「何……死んだの? その赤ん坊」
風雪がそう尋ねて、大河くんが小さく頷いた。
真倫ちゃんを押し退けて、大河くんに近付くと、風雪は手を出して赤ん坊をそっと抱いたのだ。
その姿に、さっきまで口論をしていた真倫ちゃんも何も言えずに。
風雪は立ち上がり、屈んでブツブツと呟く山中に近付いた。
「……どうする。どうすりゃいい。考えろ……どうすれば助かるんだ」
「竜也、あんたはいつもそう。追い詰められるとそうやって小さくなって。でも大丈夫だから。まだ私達は死んだわけじゃない」
「赤ちゃん……死んだの?」
大河くんの寂しげな声が、うるさい音楽室に響いたようで。
口論していた二人も、それが聞こえたのか喋るのを止めてこちらを向いた。
雄大も桐山も、驚いた様子で。
山中はその場に屈んで、顔を手で覆いブツブツ何か言っているけど。
「え? 死ん……え? 嘘だろ?」
桐山も信じられないのか、オロオロとうろたえている。
医者もいない、親もいない。
食べ物もベッドもない状況で、子供達だけで面倒を見ること自体に無理があったのかな。
それにしても、こんなに早く死んでしまうなんて。
「何……死んだの? その赤ん坊」
風雪がそう尋ねて、大河くんが小さく頷いた。
真倫ちゃんを押し退けて、大河くんに近付くと、風雪は手を出して赤ん坊をそっと抱いたのだ。
その姿に、さっきまで口論をしていた真倫ちゃんも何も言えずに。
風雪は立ち上がり、屈んでブツブツと呟く山中に近付いた。
「……どうする。どうすりゃいい。考えろ……どうすれば助かるんだ」
「竜也、あんたはいつもそう。追い詰められるとそうやって小さくなって。でも大丈夫だから。まだ私達は死んだわけじゃない」