屍病
「うるせぇな、ガキが。一体誰の女を殴ってんだ? あ?」


後ろに引っ張られて、床に仰向けになった真倫ちゃんの腹部を踏み付け、山中が睨み付けた。


「いつ……何なのよこいつ! 死んだ赤ん坊を大事に抱えて、何になるのよ! あの化け物に食わせれば、満足して帰るかもしれないでしょ! ずっと大事に抱えてても、いつかは腐るんだよ。悪臭に耐えられなくなって手放すんだよ! それとこれと、どう違うっての!?」


頬を押さえて、風雪も真倫ちゃんを睨み付ける。


「よくも赤ちゃんを! お前達、許さないぞ!」


大河くんが、泣きながら風雪に駆け寄る。


でも、それを山中が、左手で弾き飛ばすように大河くんの顔を引っぱたいて。


机に身体を打ち付けて床に倒れた。


「く、狂ってやがる。普通の人間なら、あんなこと絶対に出来ねぇよ……小さい子に暴力振るうとか。こいつら不良なんかじゃねえ。ただの極悪人じゃねぇか」


「桐山、俺もそう思う。そして、こいつらがいる限り、俺達もいつ殺されるかわからない。お前らを人間とは思わない。イーターなんかよりもずっと下劣なで凶悪な、悪魔だ」


雄大はそう言って、高下が使っていた包丁を取り出した。
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