屍病
私がそう言うと、雄大は驚いた顔で振り返って。


「神様が……いるだって?」


「あの祭りは、その神様に捧げられる物だって聞いたことがある」


「……はっ! 神岩様か!」


雄大も辿り着いたその答えに、私は頷いた。


何もない時は何も思わないのに、こういう事態に陥った時には何だって怪しく思えてしまう。


こじつけかもしれないけど、神様が怒ったと考えるならば、神岩様しかないと思えたから。


「一度調べてみる価値はあるな。こんなことを考えるなんて頭がどうかしてると思われるかもしれないけどさ。今の状況がすでにおかしいからな。だが、神社に行くのは危険だ……危険すぎる」


そうブツブツと呟きながら、1年2組の後ろのドアをそっと開けた。


雄大の上から覗くようにして、教室内に視線を向けると……。










そこには、窓ガラス一面に、ビッシリとイーター達が張り付いて、ニタニタと笑いながらこちらを見ていたのだ。









「ま、まずいぞ逃げろっ!!」


雄大のその声と同時に、イーター達が一斉に窓ガラスを割る。


侵入するには窓枠を超えなければならないから少し時間はあるにしても、いきなりの出来事に私はパニックになった。
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