屍病

「に、逃げるってどこに！」


「とりあえず音楽室に！ くそっ！ まずいことになった！」


考えている余裕なんて一切ない。


階段に向かって走り出した私達を、次々と校舎の中に入って来たイーター達が追い掛けて来ているのだ。


廊下を走り、階段に差し掛かる。


と同時に教室から飛び出すイーター達。


「桐山っ！ 音楽室に逃げろ！ 早く！」


二階の廊下に向かって、雄大が叫ぶ。


こんなタイミングでイーター達が侵入してくるなんて最悪だ。


特に桐山は、電気が点いている二階にいるのだから、下手にこちらに向かえば、イーター達と鉢合わせになってしまう可能性だってある。


「え、えぇっ!? ちょ、無茶言うな！」


遠くから、そんな声が聞こえた。


でも、私達には桐山を心配している余裕などあるはずがなかった。


今、桐山の所に向かっても、逃げ道を失ってしまうだけ。


出来ることは、桐山の無事を祈りながら音楽室に駆け込むことだけなのだ。






「イヒ！ イヒ！ 肉！ ニク！ 食べタい！」


「腹ペコ！ 腹ペコ！ カジらセろ！」






背後に迫る声が、どんどん近付いてくる！