屍病
三階に辿り着き、必死に廊下を走って辿り着いた音楽室。


勢いよくドアを開けて身を滑り込ませた。


イーター達が迫っている。


「芹川! 早く! 早く閉めろ!」


「わ、わかってる! わかってるけど! 桐山くん……あぁ、もう!」


最後まで、桐山のことが気がかりだった。


でも、イーター達が眼前に迫っている状況では、そうも言っていられない。


慌ててドアを閉める。


だが、ドアの僅かな隙間に、先頭のイーターが手を滑り込ませて……私の手首を掴んだのだ。


「い、嫌っ!」


振り解きたいけど、ここで手を離せばイーター達がなだれ込んでしまう!


「うわああああああっ!」


そう思った瞬間、雄大が包丁を振り上げて雄叫びを上げた。


直後、振り下ろされた包丁がイーターの手首に突き刺さり、「ギャッ」という悲鳴と共に、イーターの手が肉を切り裂かれながらドアの隙間から引き抜かれたのだ。


そして、後から追ってきたであろうイーター達がぶつかったのか、完全にドアは閉められた。


「だ、大丈夫か芹川!」


すぐさま鍵をかけて、ドアにもたれるようにして私に声をかける雄大。


「わ、私は大丈夫……でも……」


音楽室に追い詰められた私達。


そして逃げられなかった桐山。


この状況で……私達はどうすればいいんだろう。

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