屍病
「死んだやつのことを言っていても仕方ないだろ! それともあんたは、そうやっていない人間のことを言って、ここで死ぬつもりか!? 死にたくなかったら協力したらどうだ!」


雄大の言うことは正論に聞こえるけど、それは私達の立場からすればの話。


風雪からしてみれば、山中を殺された挙句、殺した相手に協力しろと言われてるんだから、素直に従えるはずがない。


「だったら、このガキを食わせてる間に逃げればいいじゃない! 子供だから何しても良いなんて思うなよ!? 竜也を殺したんだから、お前が死ね!」


「ま、まだ言うか!」


大河くんを指さして叫んだ風雪に、雄大が包丁を握り締めて詰め寄る。


「ゆ、雄大! やめなよ!」


ドアから離れた雄大を、慌てて止めようとするけれど、雄大は首を横に振った。


「こうなることがわかっていたなら、何としてでもあの時、こいつらを入れるべきじゃなかった! 高下の遺体を踏みにじった時、トラブルが起こるとわかっていたのに! こいつを食わせて、その隙に俺達は逃げるんだ!」


ダメだ、雄大は止まらない!


感情に任せて包丁を振り上げて、風雪に迫った。
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