屍病
誰もが、この異常な世界で生きるために必死なのだろう。


助けてくれる大人は、全てイーターに変わってしまった。


全ての行動の責任を、子供達が取らなければならない中で。


「それで、ここから逃げてどこに行くつもりなのよ。どこに逃げても同じなら、ここでギリギリまで待ってもいいんじゃないの? 残り少ないけど、食べ物もあるわけだしさ」


買い物かごをチラリと見て、風雪が言った。


「ん……芹川、さっきの話だけど、原因はアレにあると思うんだな?」


真倫ちゃんに蹴られた脇腹を擦りながら、雄大が私にそう尋ねた。


アレって……神岩様?


「わ、私が思うだけだから、違うかもしれないけど。それに、行ったとしても何もないかもしれないし」


「アレ? アレって何?」


私と雄大の会話に、首を傾げて不思議そうに真倫ちゃん。


「ほら、真倫ちゃんが言ってたじゃない。神社に神岩様がいて……って」


そう言うと、思い出したかのように「あー」と、何度も頷いた。


「あの神事が、本来やるべき日ではなく、一日ずらされた。遅れたことで神岩様が怒って、世界をこんなふうに変えた……と芹川は思ってるんだ」
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