屍病
まだドアは大丈夫そうだ。


雄大を見ると、小さく頷いて。


一体なんの音なのか、私も気になって窓へと駆け寄った。


窓を開け、下を見るけれど暗くてよくわからなかったけれど、そこから聞こえた声に私は驚いた。


「おーい! 大丈夫かよ! 殺られたんじゃないかと思って心配したぜ!」


この声は……桐山!?


イーターの群れが学校に侵入して、てっきり襲われたとばかり思っていた。


なのに、全然平気そうな声だ。


「き、桐山くん! 大丈夫だったの!?」


「芹川か? おうよ、二階には来なかったからな。全員お前らを追って三階に行ったんじゃねぇのか?」


何と言うか……桐山が無事に逃げ出せたのは良かった。


その分、音楽室の前にイーター達が集結してしまったのは困ったけれど。


「そのことで困ってるんだよ。音楽室の前にいっぱいイーターがいてさ、どうにか出来ないか? このままじゃ、いずれドアを壊されそうなんだ」


真倫ちゃんがそう言うと、下の方から「えっ」という声が聞こえた。


桐山が戸惑うのもわかるよ。


なんとか逃げ出したのに、今度はイーターをどうにかしろだなんて。


だけど、私達ではどうすることも出来なくて、桐山に頼るしかこの状況を脱する方法はなかった。
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