屍病
「無事に逃げられたら、神岩様のところに行って! 私達も何とかして行くから!」


「ま、任せとけ。何とか引き剥がしてやるよ」


私にそう答えた桐山は、私達がこの校舎に入った裏口の方へと走って行った。


後は、ドアが破壊されないように祈るだけ。


「桐山がなんとかしてくれる……それを信じよう」


窓から離れて、雄大が押さえるドアに駆け寄った私と真倫ちゃん。


気休めでも、ドアを背中に、雄大と一緒に並んで押さえる。


「本当にどうにかしてくれるのか? こう言っちゃなんだが、あいつはイーターから逃げてばかりのやつなんだぞ? 一度もまともに戦ったところを見たことがない」


私だってそんなの見たことないよ。


茂手木が襲われた時も、震えて見てるだけだったし、食糧調達から帰って来た時だって、真っ先に逃げ出したんだから。


「どっちにしても、このままじゃ私達は死ぬだけだろ! 一か八か、桐山に賭けるしか……」


と、真倫ちゃんが強い口調で雄大の方を向いて、そこまで行った直後。


バキッと言う音がふたりの間から聞こえて、奇妙な形のイーターの手が、ドアを突き破って中に侵入してきたのだ。
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