屍病
「はぁっ! はぁ……はぁっ! すまない! 助かった、芹川」


首を押さえて振り返り、肩を上下させて呼吸をする。


「も、もうダメなのか……桐山は間に合わなかったのか」


私も慌ててドアから離れて振り返る。


その光景は、ホラー映画なんかで見たことのある不気味は光景。


ドアを突き破り、何本もの手が私達を呼ぶように蠢いている。


「これじゃあ持たない。もう、このドアは破壊される……」


「は、破壊されるじゃないっての! どうにかしろよ!こんな所で死ぬなんて嫌だから!」


何も手伝いもしないのに、風雪が声を上げる。


死にたくなかったら少しは動いてよ。


私達よりも年上なのに。


ドアが揺れる。


今にも破られてしまいそうなほど、ドアの木の部分が歪んで。


もうダメなのかな。


と、諦めそうになった時。










「う、うおほひっ! こここ、こっちだ、イタッ、イーター共!! こここここっ、こっちだっちゅってんだろうが!」








物凄く噛み噛みだけど、遠くから桐山の声が聞こえた。


と、同時に、ドアにかかる圧力が小さくなるのがわかった。
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