屍病
「に、逃げるのが無理なら、やっぱり殺すしかないのか。生徒玄関みたいに、一匹が通れる穴を作って、一匹ずつ中に入れて殺すしかないじゃない」


「都合よくそんな穴が作れるとは思わない! 一気になだれ込んで来たら、それこそ逃げ場がないんだぞ!」


「あーもう! 逃げるのもダメ、殺すのもダメとか、じゃあどうすればいいんだよ! しっかり考えてよ!」


何を言っても首を横に振る雄大に、真倫ちゃんのイライラが募る。


無理だと言いたい気持ちはわかるけど、何もしなければいずれ私達は死んでしまう。


「そ、そうだ! 雨樋(あまどい)! あれを伝って地面まで行けないかな?」


学校の雨樋は太くて、一人くらいなら掴まっても壊れそうにはないと思うけど。


「最終手段としては試すべきかもしれないが……もしも失敗して落ちれば命はないぞ? 運良く助かったとしても、無傷では済まない。 病院には行けないんだからな」


じゃあ、結局私達はこうしてドアを押さえている以外、何も出来ないって事なの?


せっかく桐山がイーターを引き剥がしてくれたのに。


「一番可能性があるのは、やはり一匹ずつ入ってくることに賭けることだけど……」


それくらいしか方法がないというのは、雄大もわかっているようだ。


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