屍病
よだれの次は血。


私に返り血が降り注ぐ。


高下の時といい、今回といい、どうして私は血塗れになるんだろう。


「はぁ……はぁ……くたばれ化け物!」


そして、何度も何度も容赦なく突き刺した結果……今度はイーターの首が私の頭部に当たり、床に転がったのだ。


「ひぃぃっ!」


竜也を食われ、意気消沈していた風雪が、山中の目玉を見せ付けられて怒りを爆発させた。


身動きが取れなかったとは言え、イーターの首を切断するくらいに恨みに思ったのだろう。


心強いと思う反面、その怒りが私達に向いたら……と考えると、気が気ではなかった。


「ダ、ダメだ! 山瀬! 早く机で穴を塞げ!」


「う、うん!」


この状況の危うさに、雄大も真倫ちゃんも気付いたのか、外した机を慌てて戻し、イーターに空けられた穴を塞いだ。


「はぁ……はぁ……何が美味かっただ! 気持ち悪い化け物が!」


包丁を離して、床に転がったイーターの頭を蹴り飛ばした風雪。


山中の目玉を拾い上げて、両手で目玉を包み込むように持って、雄大が押さえている側に腰を下ろした。


その行動は……美談というにはあまりにも常軌を逸したものにしか思えなかった。
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