屍病
それから、どれくらいの時間が経っただろう。


ドアを押さえることに必死で、もう何時間押さえているかもわかっていない。


「ゆ、雄大。いつまで私達はこうやってなきゃならないんだ? このまま私達は死んじゃうんじゃないかって、心が折れそうだよ」


「き、奇遇だな。俺も今にも心が折れてしまいそうで、悩んでいたところだ」


決定的な打開策がひとつもない。


最終手段と言っていた、雨樋を伝って降りるのも、今の体力では間違いなく失敗しそうな気しかしない。


「イーターが顔を出した穴から、ひとりずつ顔を出させて殺せば良かったんじゃないかな」


私がそう言うと、雄大も真倫ちゃんも風雪を見て。


「その作戦は悪くないんだが……俺達に危険が及ぶ可能性があったからな」


「今となっては……だよね。このままじゃ、どっちにしても殺されてしまうかもしれないし」


皆、そろそろ体力の限界が来ているのか、言葉に力を感じない。


このドアも今まで良く持ってくれたと思うよ。


「じゃあ、今からでもやろうよ。このまま完全に体力がなくなってからじゃ、どの道殺されちゃうよ」


私の提案に、反対する人はいなかった。


皆、もう限界だったのだ。


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