屍病
桐山は、間一髪のところで首を引っ込めたようで、包丁の直撃を食らわずに済んだみたいだ。


「あ、危ねぇな! 俺を殺す気か!」


廊下に桐山がいる……ということは、イーターはいないということだ。


まだいたとしたら、逃げもせずにこんなのんびりしているはずがないから。


私達は慎重に、ドアを塞いでいる机を除けた。


もう、こちらからでもわかるほどドアはボロボロで、いつ完全に破られてもおかしくないほどだ。


ドアを開けると、廊下で腰を抜かしている桐山と……見慣れない男女がふたり、そこに立っていたのだ。


大人……のようにも見えるけど、イーターではない?


いや、それよりもどうして桐山が。


「せっかく助けに来たってのに、何考えてんだよお前らは!」


「す、すまない。てっきりイーターが来たのかと。それよりどうしてここに。その人達は……」


怒る桐山に、雄大が尋ねる。


「どうしてって。良く考えたら俺、神岩様の場所知らねぇし、神社で待ってたんだけどよ。何時間経ってもお前ら来ねぇし、逃げられなかったんじゃないかなと思って助けに来たんだよ。この人達は学校に向かってる時に出会ったんだよ」
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