屍病

よく見ると、桐山は大きなハンマーを。


男性と女性も同じハンマーを持っていて、男性はエアガンも持っている。


「話を聞いた時は信じられなかったよ。こんな化け物だらけの町で、まだ生き残ってる子達がいるって聞いた時は。でも、本当に生き残ってたんだね。間に合って良かった」


柔らかな物腰で、優しい笑顔を向けてくれる女性。


「ところで、生徒玄関の前にバイクが置いてあったのを見たんだけど、ここにヤンキーと、その彼女はいたりするのかい？」


どうも男性の方は音楽室の中が気になるようで、チラチラと室内の様子を窺っている。


「え、えっと。山中さんは……その……」


私がそう言うと、男性は室内に入ってキョロキョロと辺りを見回したのだ。


「……そうか。だとしたらあいつも」


小さな溜め息をついて、振り返った男性。


足元にうずくまる風雪に気付いたのか、驚いたように声を上げた。


「ふ、風雪!? お前、生きていたのか！」


その声に、ビクッと風雪は身体を震わし、驚いたように顔を上げた。


「ゲッ！ あ、兄貴！ なんでここに！」


「それはこっちのセリフだ！ お前のことだから、あのヤンキーとめちゃくちゃやって、この子達を困らせていたんだろ！」