屍病
春瑠さんを先頭に、川沿いを歩いて神社の参道に入った。


この辺にいたイーター達は、学校に集まっていたのか、姿が見えない。


私達にとってはその方が都合が良いんだけど。


「静かだな。まるで何かが待ち構えていそうな雰囲気だよ」


そう言われてしまうと、道の脇からイーターが飛びかかってきそうで怖い。


フライパンを握り締めて、私は辺りを注意深く見回した。


「兄貴は臆病なんだよ。なんでもないことを大袈裟に言ってさ。こいつらを怖がらせるなよな」


なんだか、風雪のイメージが変わるなあ。


初めて会った時は、気だるそうな話し方だったのに。


家族の前では全然違うんだな。


「臆病だって? こういう時は臆病なくらいが良いんだよ。怖いもの知らずほど早死にするんだ」


春瑠さんが言うように、私や逃げてばかりいた桐山がまだ生きてるくらいだ。


それはあながち間違ってはいないのかもしれない。


国道を渡り、踏切を越えて、いよいよ神社というところまでやって来た。


屋台が並んでいる場所に、イーターの姿は見えないけれど、鳥居を抜けた先に、ウロウロしている人影が見える。


神岩様までもう少しなのに、イーターをどうにかしなければ進めないのかな。
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