屍病
物音を立てないように、慎重に移動をしたおかげか、イーターに襲われることもなくあの道へと入った。


少し歩けば、私があの日、泣いていた場所へと辿り着く。


「あの日……祭りの日、何かが起こって世界が変わっちゃったんだ。ここで、畠山や前田はイーターに食われた。あの時の私達は、逃げる以外に方法はなかった」


「そうだな。茂手木も高下ももういねぇし、あの時一緒にいたやつらはもういなくなったんだな。お前らと一緒に行動してるのが嘘みたいだぜ」


真倫ちゃんも桐山も、随分昔のことのように懐かしんでいる。


私もそうだ。


あの祭りの日、真倫ちゃんに誘われなかったら……きっと結夢と同じように、お母さんに料理にされて食べられていたかもしれない。


「……ほら、皆。まだ終わったわけじゃないよ? このわけのわからない事態が終わってから考えよう? 今は、やることやらなきゃね」


未来さんの優しい声が、不安になっていた私を元気付けでくれる。


それはどうやら私だけじゃないようで。


「やべぇ。やっぱ未来さん良いわぁ……彼女にするならああいう優しくて柔らかい人が良いよな」


桐山は鼻の下を伸ばして、幸せそうな笑顔を浮かべていた。
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