屍病
もっと早くに懐中電灯を出していれば、今頃は神岩様に到着していたかもしれないのに。


「なんで懐中電灯を持ってきたのにこんなに言われなきゃならないんだ……世の中間違ってる」


ブツブツと呟きながら歩く桐山を先頭に、私達は山道を登って行った。


神社に近付くにつれて……と思っていたけど、もしかすると神岩様に近付いているからかもしれない。


胸が苦しくなるのが、どんどん大きくなる。


耐えられないほどではないけど、今にも押し潰されてしまいそう。


「愛莉? 大丈夫? なんだか苦しそうだけど」


そんな私に気付いたのか、真倫ちゃんが声を掛けてくれる。


「うん……大丈夫。きっと不安なだけだよ」


何が、なんて言わなくてもわかってくれるはずだ。


ここに来てまで、何もなかったらと考えるだけで不安になる。


「そう。私は最後までずっと愛莉と一緒だからね。何があっても……」


「真倫ちゃん……」


その言葉に励まされて、私はまた一歩進むことが出来るよ。


思えば、真倫ちゃんだけは私の味方をしてくれた。


真倫ちゃんは女の子だけど、誰よりも大好き。


これからもずっと、一緒にいたいよ。
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