屍病
「神岩様が割れてるからって、簡単に諦めちゃダメだよ! このまま、イーターがいる世界で生きていくつもりなの!? そんなの、私は嫌だよ!」


私が感じていた胸の苦しみは、もしかしてこのことだったのかもしれない。


神岩様が、私に苦しみを訴え掛けていたのかなって。


「でも、こんなのどうしろって。そもそも大人がイーターになった原因はなによ? もしもこの神岩様ってのが割れたことが原因だとしたら、元通りひとつに戻せば元の世界に戻るわけ? それこそ……無理でしょ」


割れた神岩様の半分が山の斜面を滑り落ちたようで、下の方に見える。


風雪の言葉は、私の提案さえも打ち消す説得力を感じた。


いくら諦めたくない、元の世界に戻したいと声高に叫んでも、この神岩様が割れたことで世界が変わったとしたら……私達には、手の打ちようがないのだから。


そう感じているのは私だけではないようで、状況が理解出来ていない桐山以外は皆、俯いて暗い表情。


「神は死んだ……か」


そう、春瑠さんがポツリと呟いた時だった。










『諦めるのか……生きることを……』











そんな声が、激痛と共に頭の中に響いたのだ。


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