屍病
誰にも聞こえない声。


この場所で訴えかけるように、私の脳内に響いた。


これが神岩様と関係していなくて、何が関係しているというのか。


「……神岩様が割れて、世界が変わったか。だとすると、あの大地震の時にこの神岩様が割れたのではなく、神岩様が割れて大地震が起こった……いや、それはどっちでもいいか。くそっ! こんな時にどうでもいいことしか考えられない!」


雄大も不安なんだろう。


神岩様に原因があると考えて、ここまでやって来たものの、その神岩様は私達ではどうすることも出来ない状態だったのだから。


そして、またあの声。










『どうして……もっと早く……してくれなかった……』









頭をハンマーで殴られるような、締め付けられるような痛みに、私は叫ぶことも出来ずに頭を抱えるだけ。


「はぁ……はぁ……やっぱり、お祭りを遅らせるべきじゃなかったんだ。今、そう声が……」


「だとすると……僕達は遅すぎたんだ。世界がこうなってしまってからでは、どう足掻いたとしても何も変えることは出来なかった。もしも、世界を戻す方法があるとすれば、この神岩様をひとつに戻すことだろうけど」
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