屍病
「神岩サマにお参リデスか? こンな夜中に。デスが、『オリョウ』を鎮めテイタ神岩サまはモウ、死ンでシマいまシタ。神事ヲ軽視シた罰ナノでショウ」


各々武器を構えたけれど、なんだかこの神主さんは他のイーターとは違う?


問答無用で襲い掛かって来るわけでもなく、私達に語りかけるように。


顔は不気味なイーターそのものなんだけど。


「いやいや、だから『オリョウ』って何なんだよ!? てかお前、イーターじゃないのかよ!」


「『オリョウ』は『怨霊』。コノ地の呪い。絶やスコト許さレヌ。子孫ガ絶えル……忌まわ……シキ呪い。永遠に続ク、逃れラレなイ呪い。(ほふ)ラれる者、屠ル者。永遠に、永遠ニ繰り返ス」


話す度、神主さんの様子がおかしくなって行く。


なんだか身体が波打っているように見えて……ボコボコと、膨らみ始めている。


「な、何これ……おかしい、おかしいって!」


風雪の声で我に返った私達。


おかしいのは理解していたけど、身体が動かなかった。


神主さんの頭部が大きくなり、今にも破裂してしまいそう。


腕は伸び、もはや人間の姿ではなくなりつつあった。






「子孫ガ絶エル……忌マワシキ呪イ」





肥大化した脳で目が半分隠れ、大きく横に裂けた口には鋭い牙。


そして、地面に付きそうな程の長い手。


私達の目の前で……イーターだった神主さんは、不気味な怪物へと変貌したのだ。
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