屍病
「……いい友達だったんだね。そうだよね。ふたりとも、必死に生きようとしてたもんね。こんな世界なのに、人のことを考えて。一緒にいた時間は短かったけど、それは私も感じたよ」


「う、うおおおおおん! 未来さぁぁん!」


桐山が、涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔を向けて、腕を広げて未来さんに迫った。


でも、それをするりとかわして、桐山は風雪さんに抱きついたのだ。


「バ、バカッ! 何どさくさに紛れて!」


「ゲ、ゲェッ!?」


「私で悪かったな! このドスケベ変態野郎!」


桐山……本当に何をしてるんだか。


「愛莉ちゃんもよく頑張ったね。生き残っただけじゃない。何とか元の世界に戻そうと頑張ったのは、見ていたらわかる。でも……あの神主さんの言葉を聞いて、それも叶わないんだなって。もう逃げるしか方法はないんだなって思ったよ」


私の頭を優しく撫でて、微笑んでくれる春瑠さん。


きっと同じことを思っているのだろう。


「この世界とか、元の世界とか……きっとないんですね。『オリョウ』……怨霊が、神事が遅れたことで怒って、大人達をイーターに変えた。子供達を食うことで子孫を絶やす為に。それが『オリョウ』の呪い。神岩様は……『オリョウ』を鎮める為の物だったから」
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