屍病
そう言って未来さんが指さした先には、車のヘッドライトに照らされて浮かび上がったイーター達が。


5人ほどのイーターが、こちらに向かって走ってきていたのだ。


「ま、間に合わな……くそっ! 直進するぞ!」


「お、おわっ! マジかよっ!」


春瑠さんの声に、私は慌てて壁の取っ手を掴んだ。


ドンッという激しい衝撃の直後、ガラスが飛び散る音。


そして、何かを踏み付けたような揺れが私達を襲い、車内はパニック状態。


目を開けると、イーターの一人がフロントガラスを突き破り、ぐったりと項垂れて上半身が車内に入っていたのだ。


「は、離れろ! 離れろ!」


まるで汚物でも処理するかのように、未来さんがハンマーでイーターを押す。


車外に放り出されたイーターを轢いて、何とか事なきを得た。


「ず、随分風通しが良くなったもんだぜ!」


「あと少しで隣町だ、我慢してくれ!」


眼前にトンネルが迫る。


ここを抜けさえすれば隣町だ。


やっと……ここまで逃げて来ることができた。


でも、不安はまだ残っている。


あの「オリョウ」の呪いは、私達の町だけのものなのか、それとも世界中で起こっていることなのか。


その答えは、このトンネルを抜ければハッキリする。
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