屍病
春瑠さんは考えているようだけど、未来さんはどう思っているんだろう。


「あの……未来さんは……」


「うん、そうね。護身用に持っていても良いとは思うけど。でも、過ぎた力は人に悪影響を及ぼすかもしれない。自分が一番強いから、一番偉いんだってね」


まるで、高下や山中のことを言っているかのよう。


思えば、そんなことばかり起こっていたような気がするよ。


皆で協力しなければならないはずなのに、誰かの顔色を窺って。


「大丈夫じゃないか? 警察官の銃って、大体がニューナンブだろ? 5発しか撃てないし、少ない弾を仲間に使うようなバカはいないだろ。そんなことしてたら、クリーチャーが来た時には弾切れしてるぜ」


「ず、随分詳しいな……だが、桐山くんがそう考えているなら大丈夫かもしれないな。一番心配だったし」


「うぉいっ! そりゃどういう意味だよ春瑠さん!? 俺、グレちゃうよ?」


春瑠さんの不安材料は桐山だったのか。


確かに、高下と一緒に私をいじめていたし、真っ先に逃げ出したりしていたから、信用するには危険だと思う気持ちはわかるけどね。


拳銃を奪って、安全な場所に隠れる。


それが出来れば、私達は生き延びられるかもしれない。
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