屍病
中浜町の中心部に戻って来た。


国道沿いにある交番。


そこの駐車場に車を停めて、各々武器を持ち、外に出た。


交番に入るのなんて、小学生の時に100円玉を拾って届けに来た時以来だ。


「この交番の夜勤はふたり。出来れば2丁奪うぞ。一匹倒しても、もう一匹いることを忘れるな」


「たった二匹くらい余裕だっての。ハンマーで殴れば終わるからな」


春瑠さんはともかく、やっぱり桐山は不安だ。


調子に乗ってるというか、あれだけ逃げてたやつが、武器を持った途端に気が大きくなるんだから。


私はフライパンで不安があるのに。


「ね、ねえ。私は武器持ってないんだけど」


「一応ついて来い。フロントガラスがない車なんて、防御力は0だろ。一緒に中に入った方が安全だ」


風雪よりはマシかな。


少なくとも、フライパンがあるだけ。


そして、私達は交番のドアを開けて中に入った。


カウンターの向こうにある、他の部屋への通路?


そこにモゾモゾと蠢く人影が見える。


電気が点いているから、学校と比べると視認が用意だ。


「飛び出して、一気に叩き潰すぞ。俺と未来さん、桐山くんと真倫ちゃんで、噛みつかれる前に殴る。良いな?」


作戦らしい作戦は何もない。


ただ、鈍器で殴り付けるだけという実にシンプルな物だった。
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