屍病
「行くぞ!」


小さくそう呟いて、一斉に三人がカウンターを乗り越える。


桐山だけが、カウンターの切れ目から中に入ったけれど。


その音に気付いたのか、通路にいた警察官のイーターが不気味な笑みを浮かべながらこちらを見た。


「遅いぜ! 潰れろっ!」


ハンマーを振り上げ、真っ先にイーターに駆け寄った桐山が声を上げる。


勢いよく振り下ろされたハンマーが、イーターの頭部にめり込んで。


パンッ!


と、弾けるような音が聞こえたと同時に……桐山の身体はバランスを失い、イーターに覆い被さるようにして倒れたのだ。


「あ、ああっ! 皆伏せろ!!」


慌てて春瑠さんがスチールデスクの影に隠れる。


「え!? あ、あわわっ!」


真倫ちゃんも未来さんも、何が何だかわからずに屈んだ。









「不審者発見。強盗発見。公務執行妨害? 殺人罪? 何デもいイヤ。死ね、死ネ」









最初のイーターとは逆の部屋。


そこから出て来た二人目のイーターが、倒れた桐山に向かって拳銃を撃ち、轟音が部屋中に響いた。


私は見た。


桐山が殴り掛かった瞬間、何かが桐山の頭を貫いたのを。
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