屍病
「そして何より、この学校は僕達には慣れている場所だからね。どこに何があるかわかってるし、動きやすいというのが一番のメリットだ」


「そうね。イーターくらいなら、油断さえしなければ何とかなるし、音楽室なら出入口はひとつだから、イーターが来ても反応しやすいわね」


三階音楽室に辿り着き、今にも壊れそうなドアを開けて荷物を下ろした。


ここを出た時は8人いたのに……戻って来たのは5人。


いつも怯えている私は……まだ生き残っている。


「ご飯にしましょ。お腹、減ってるでしょ? あ、それと、タオルとシャツ、シャンプーなんかもあるから、お湯はないけど身体を洗うことも出来るわよ」


未来さんのこういう気遣いは、生きることに必死だった私達にはなかったものだ。


「じゃあ先に身体を洗おうかな。スッキリしてからご飯食べたいし」


そう言って、買い物カゴの中に詰め込まれたタオルとシャツ、シャンプーを手に取った風雪。


「だ、だったら私も。真倫ちゃんと未来さんも……どう?」


「そうだね。桐山じゃないけど、汗臭くてたまらないし。これじゃあ100メートル離れててもイーターに気付かれそうだからさ」




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