屍病
その声と同時に、イーター達も一斉にこちらを見上げた。


「ま、まずい! 見付かった!」


一刻も早く、この場から逃げないと待っているのは死だ!


食糧や雑貨、せっかく取ってきたけど、持って逃げられるはずがない。


「う、裏から逃げよう! 正面はダメだ!」


「固まるなよ! 分かれて逃げろ!」


場は混乱状態。


どの言葉に従えば良いかもわからずに、私は動くことすら出来なかった。


「愛莉! 何してるの! ほら、逃げるよ!」


真倫ちゃんに手を引かれ、音楽室から出ようとした時だった。









「お姉チャぁぁぁん! オ姉チャァァァん!」









バリンと、ガラスを割る音と共に、三階だというのにクリーチャーが入って来たのだ。


「な、なんてやつだ! キミ達は先に行け! 僕が時間を稼いでみせる! 早く!」


そう言い、春瑠さんが私達を音楽室から追い出すと、ドアに鍵をかけた。


「う、嘘! 春瑠さん!」


「うおおおおおおっ! これでも食らえっ!」


教室の中から、パンパンという渇いた音。


警察官から奪った拳銃を、クリーチャーに向かって撃ってるんだ。


< 228 / 238 >

この作品をシェア

pagetop