屍病
「愛莉! 春瑠さんに任せよう! 私達は早く逃げないと!」


もう、未来さんと風雪の姿はない。


私達よりも早くに逃げたのだろう。


この状況では助け合ってとか、皆一緒に……なんて言ってられない。


「う、うん。ごめん。行こう」


真倫ちゃんに頷いて、振り返ったその時。


「う、嘘だろ? 嘘だろ嘘だろおい!」


さらに2発、拳銃を撃つ音が聞こえた。


ま、まさか……拳銃でもクリーチャーを殺せないの?


そうでなきゃ、こんな焦ったような声を出すはずがない。


「は、春瑠さん!?」


「愛莉!」


立ち止まった私を、引っ張った真倫ちゃん。


その直後。










「ああ……ごめん。僕は……」








その声が聞こえて最後の一発。


パンッという音と共に、ドアに穴が空いて。


そこから、血が噴出するように飛び出したのだ。


「ま、まさか……」


「見るな! 早く逃げるんだよ!」


真倫ちゃんに引っ張られて、階段の方に走る。


恐怖と不安で、走る脚に力が入らない。


今にも転んでしまいそうになりながら、何とか階段まで辿り着いた私達に、さらに絶望が襲い掛かった。
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