屍病
近くの教室。


一年生の教室だけど、自分のクラスの教室と他の教室は違うという、妙な違和感がある。


電気も点けずにそこに私達6人は集まって、ホッとひと息。


時計は6時になったばかりで、お祭りに出掛けてから、大して時間が経っていないことがわかる。


「何があったかは、山瀬と芹川から聞いたけど、結局詳しいことは何もわからないんだな。大地震の後、空が真っ暗になって、大人達が人を食う化け物に変わったなんて、どんなB級ホラー映画だよ」


雄大が皆に向かってそう言うと、桐山が何かを思い付いたようにポンッと手を叩いた。


「閃いたぜ! あの化け物は人を食うんだろ? だから、人喰い(イーター)って名前はどうだ?」


こんな時にどうでもいいことを嬉しそうに言い出すのは、本当に男子って感じがする。


桐山の言葉に、皆呆れたようにため息をついた。


「イーターでもチーターでもいいですけど、この町はそんなやつらが溢れ返っているのよ? 私達がどうすれば助かるかを考えるのが先じゃないかしら」


そんな中で、茂手木がかなりイラついた様子で桐山を睨み付けた。


「だ、だったらさ、皆でこの町を出ない? 隣町に行けば、警察だって呼んでくれるだろうし。この町の警察官は……きっとイーターになってるだろうから」
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