屍病
「じゃあ雄大。私達がやらなきゃならないことはなんだ? 目的は何で、どうすれば良いのか教えてくれ」


「山瀬、俺にわかるはずがないだろ。目的を持つには情報がないし、状況もわからなさすぎる。下手に行動は起こせないんだ。今は様子見をするしかない」


結局は、話をしても私達ではこれくらいしか意見が出ない。


何もわからないんだから仕方がないけど、何もしなくても恐怖と不安だけは私達を襲ってくる。


「やっぱり……これは祟りかしらね」


しばらくの沈黙の後、茂手木がポツリとそう呟いた。


「祟り? なんだよ祟って。俺達は別に何にもしてねぇぞ? ただたこ焼き食ってただけで祟られるわけねぇだろ」


「桐山、少し黙っててくれない? 皆は、今日のお祭りがどんな意味のあるお祭りだか知ってる?」


お祭りの意味……か。


そう言えば、まだおばあちゃんが生きていた頃に聞いたことがあるような。


何だったかな……何か、少し怖いように思えたような。


と、そこまで考えた時、おばあちゃんの顔と口元が思い出された。


「あっ」


小さく声を出して顔を上げると、皆が私を見る。


「何。知ってるなら言いなよ。どうせ何も知りはしないんでしょ」


と、高下がバカにするように言ったけれど、私は少し俯いて口を開いた。
< 25 / 238 >

この作品をシェア

pagetop