屍病
「えっと、昔、おばあちゃんに聞いたんだけど……このお祭りは日をずらしたらダメだって。真倫ちゃんが言ってたけど、このお祭りって毎年6月10日にあるんでしょ? 本当は」


私がそう言うと、茂手木と真倫ちゃんが顔を見合わせて。


「そうね。6月10日にあるこのお祭りは、ずっと昔はお祭りですらなかったの。鎮魂の意味と、厄災から守る為の『神事』だったらしいわ」


「うちのおばあちゃんも言ってた。『神事』だって」


2人がそう言うと、桐山が驚いたような表情を浮かべた。


「お、お前らよく知ってるなそんなこと」


「去年の授業で、『我が町紹介』ってやったでしょ。その時調べたじゃない。桐山は私と同じ班だったのに、どうして覚えてないのかが逆にわからないわ」


桐山の発言に、もはや呆れることもしない様子で。


「それで、鎮魂はわかるとして、厄災ってなんなんだ? まあ、今の様子を見れば言わずもがなかな」


大人達が人を食う化け物に変わった。


子供達にとって、これほどの絶望が他にあるだろうか。


力のない子供は食われ、何とか逃げ延びた子供はこうして生きる為の相談をしている。


打開策なんてあるはずがないんだ。
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