屍病
「次は童か成人か、どっちか死んで、どっちか生きる。絶やすな『オリョウ』を降らせるな。『オリョウ』が降れば、村が死ぬ」
おばあちゃんが言ったのは、こんな感じだった気がする。
細かい部分のニュアンスは違うかもしれないけど。
私がそう呟くと、皆驚いたような顔をして。
「それ、うちのじいちゃんも同じような歌を歌ってた気がするぜ」
「あ、ああ。どこの家にも伝わってるものなのか、ばあちゃんが生きていた頃、歌ってたのを聞いたことがある」
私だけじゃなかった。
雄大も、桐山も……いや、この場にいる全員が、聞いたことがあると口々に答えたのだ。
ただ、皆と違うのは、私はこれをお祭りの話の時に言われたということ。
つまり、何かしらお祭りに関係があるということだ。
「えっと、よくわからないけど、お祭りの日をずらしたせいで、その『オリョウ』ってのが降ってきたって感じ?」
真倫ちゃんがそう尋ねるけれど、誰もその答えを持ち合わせていない。
詳しいことは何もわからないのに加え、それを知っている大人達は皆、イーターに変わってしまったのだから。
「わからないけど……やっぱり神事をずらしたことが原因のようね」