屍病
茂手木がそう言い、高下の立場がどんどん悪くなる。


決めたのは高下のおじいちゃんで、高下本人ではないことは皆わかっているけれど、今まで散々おじいちゃんの権力を使って、やりたい放題やって来たのだから、その反動は大きい。


「おいおい、だったら高下、お前がどうにかしろよ! お前のじいちゃんのせいでこうなったんだろ!?」


「なっ! き、桐山! あんたも土曜日に祭りがあるって喜んでたじゃない!」


「はっ! こんなことになるくらいなら、平日にやってもらった方が良かったぜ! 祭りひとつで人生台無しにされたくないんだよ!」


立場が変わる時は、ずいぶんあっさりと変わる。


高下と桐山を見ていると、それがよくわかるよ。


私だって、普通の生活を送っていたのに、高下さんと好きなアイドルグループのメンバーが同じだっただけでいじめられるようになったから。


「待て! 過ぎたことを言ってても仕方がないだろ。今の歌だって、ことが起こってから気にしても仕方がないことだ。大事なのは、これからどうするかと……」


口喧嘩をするふたりをなだめようと、雄大がそう言ったその時だった。


突然、廊下の電気が点いたのだ。
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