屍病
一階の教室、配膳室を調べたけれど、窓はしっかりと施錠されていた。


後は、鍵がないと入れない調理実習室や理科室なんかがあるけど、それは職員室から鍵を取ってこなければならないから、後回しでいい。


再び雄大と真倫ちゃんと合流し、玄関の方に向かって歩いた。


「俺と山瀬で体育館を調べる。ふたりは玄関と渡り廊下を頼む。ああ、ついでに職員室に寄って、鍵を取ってくるのを忘れないでくれ」


「へーへー。こういう時はクラス委員の本領発揮だな」


「文句を言うな、桐山」


こんな時になんだけど、こういう状況でも、学校生活の一場面のような光景を見られるのはなんだかホッとする。


恐怖と不安、緊張の連続だから、元の世界を感じさせてくれるのはありがたい。


「じゃあ、さっさと終わらせようぜ」


「あ、う、うん」


桐山に促され、私は生徒玄関のドアに駆け寄った。


ここもしっかりと施錠されている。


「なあ、芹川。お前、怪我は大丈夫かよ」


確認している私の背後から、桐山が思いもよらない言葉を投げかけたのだ。


「え? 怪我?」


「いや、ほら……神社で前田が石を投げて、血が出ただろ?」


ああ、そう言えば。


あまりに衝撃的な事態の連続で、すっかり忘れていたよ。
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