屍病
職員室に入り、鍵を取ったあと、一応中庭に面している窓も確認した。


「どうやら、さっきのイーターは数学の杉山みたいだな。杉山の席に、財布と車の鍵が置いてあるぜ」


「車の鍵を置いたまま帰るわけがないもんね。でも、杉山先生はどうして学校にいたの? 土曜日なのに」


何かしら用事があったにしても、杉山先生が学校の中にいなかったら、茂手木が噛み付かれることはなかった。


そう考えると、本当に不運だったとしか言えない。


「さあ? やり残した仕事があったんじゃないか? それくらいしかわかんねぇよ」


確かに、私達が何をどう考えても、杉山先生の行動なんてわかるはずがない。


「保健室も調べた方が良いかな? 薬とか、ベッドとかあるし、休むなら保健室の方が良いよね」


「おお! それだぜ芹川! 家で寝るより寝心地は悪いはずなのに、どうして保健室のベッドは気持ちいいんだろうな」


それは……皆が勉強している時間に眠れるからじゃないかな?


ベッドが気持ちいいという意味ならわからないけど。


職員室を出て、保健室に入って電気を点けるとすぐに、桐山がベッドに向かって駆け出した。


そして、転がるようにしてベッドに横になったのだ。
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