屍病
「ああ……横になれるって幸せなことだったんだな。最高だぜ」


「桐山くん、戸締りを確認してから……」


ベッドに近付き、私が呆れたようにそう言うと、桐山は隣のベッドを指さした。


「いいから横になってみろって。めちゃくちゃ気持ち……」


そこまで言って、桐山の顔が真顔に変わっていく。


そして、顔が歪んで悲鳴を上げたのだ。


「ひぎゃあああああっ!!」


桐山の悲鳴に驚き、その指さした方を見ると……女の子がベッドに横になって、桐山をジッと見ていた。


「ひっ!」


と、声を上げたけど、その顔は見覚えがある。


「さ、三組の矢島さん!? も、もう……驚かさないでよ。でも、学校に逃げ込んだのは私達だけじゃなかったんだね」


電気を点けてて良かった。


知らずに矢島さんの上に寝転がってたかもしれないよ。


そう、私は思ったけれど、桐山はまだ続ける。


「お、おい! なんで俺をジッと見続けてるんだよ! おかしいだろ!」


一体何をそんなに騒いでいるのか。


まあ、カーテンが引かれていて、顔だけしか見えてないからそう思うのかもしれないけど。


そう思い、私は矢島さんのベッドのカーテンを開けた。


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