屍病
国道を渡り、踏切を渡るとすぐに屋台が並んでいた。


山の麓に建てられた、結構大きな神社。


「屋台はお参りが済んでからね」


という真倫ちゃんの言葉に従って、私達はお参りをすることに。


色とりどりの屋台の前に、楽しそうな人達の姿。


友達同士や、親子連れで、皆このお祭りを楽しんでいるみたいだ。


真倫ちゃんに誘われなければ、私は身近にこんな楽しいことがあるのを忘れたままで、ひとり腐っていたのかもしれない。


鳥居をくぐり、石段を上がり、本殿までやってきた私達。


真倫ちゃんがやることを真似て、手を合わせる。


何を願おうかな。


いじめがなくなりますように。


かなと考えながらも、私は違う願いを心の中で呟いた。




どうか……この楽しい時間が永遠に続きますように。




しばらく目を閉じて、強くそう願った。


ずっと変わらない、優しい真倫ちゃんとずっと一緒にいたいから。


「……さて、行こうか。屋台で晩御飯がいらないくらい食べるんだ」


「真倫ちゃん、たこ焼き好きだったよね」


こうしていると、昔のことを思い出す。


そんなことを話しながら、私達は石段を下りて屋台へと向かおうとしていると。


社務所と呼ばれる場所から、神主さんに付いて、ゾロゾロと大人達がこちらに向かってやって来たのだ。


「今から神事が行われるみたいだね。日の入りから日の出までやるらしいよ。大人って大変だね」


真倫ちゃんと共に、大人達を見ながら、私達は屋台へと向かった。
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