屍病
正義と悪



……あれから、どれくらい私は眠っていただろう。




目が覚めた理由は、トイレに行きたくて。


「うぅ……あれ? ここは……ああそうか、学校にいたんだ。ということは、夢じゃなかったんだね」


そんな独り言を呟きながら立ち上がり、私は教室を出てトイレに向かった。


外は相変わらず真っ暗で、そんなに時間が経っていないことがわかる。


せめて明るくなってくれていたら、トイレに行くのも怖くなかったのに。


トイレのドアを開けると、やはり中も真っ暗。


万が一外にいるイーターに見られたら、ここに人がいることがバレてしまうとは思いながらも、どうしてもこの暗さの中で用を足すことはできなくて。


すぐに終わるからと、電気を点けた。


「眩しっ。ずっと暗い中にいたから、少し明るいだけでも眩しく感じちゃうよ」


独り言が多いのは、きっと怖いと感じてるんだろうな。


見えもしない幽霊より、イーターの方が恐ろしいとわかってるのに。


個室に入り、用を足した私は、電気を消して外の手洗い場で手を洗った。


「それにしてもお腹減ったな。まだ朝じゃないのにこんなにお腹が減ったら眠れないよ」


そんなことを呟きながら教室に戻った。
< 51 / 238 >

この作品をシェア

pagetop