屍病
「どっちかなんてわからないけど、それでもトイレには行きたくなるし、お腹も空くし、どうするの? 食べ物」


朝になったら少しでも良くなるかもしれないという、微かな希望でさえ打ち砕かれた今、考えなければならないのはどうやって生きるかということだった。


衣食住。


着ているものはあるけど、これ一着だけ。


住む場所は、この学校を拠点にすればいいとしても、問題は食べ物だった。


「全員で5人か。どこで食べ物を調達するかだ」


雄大がチラリと窓の外に視線を向ける。


私も同じように窓の外を見ると……寝る前とは少し状況が変わっているようにも見えた。


人影が、ゆっくりと道を歩いているのがわかる。


あれは……イーター?


「俺達が眠っている間にも、状況は悪くなったみたいだな。外を歩いているイーターなんてほとんどいなかったのに、あれはなんだ」


「でも……何か目的があって移動してるようにも見えるよね? ほら、ゾンビ映画みたいに、ただうろうろしてるわけじゃなさそう」


イーターによって違うけど、どこかに向かって歩いているようにも見える。


中には、自転車に乗って走り去るイーターまでいるくらいだ。
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