屍病
ふたりで話していてもダメだということで、真倫ちゃんと桐山を起こすことになった。


よく見たら、教室の隅に高下もいて、生き残った5人全員がここにいることになる。


「んだよ……まだ夜じゃねぇか! もっとゆっくり寝かせろよな」


「桐山、今が夜か朝かなんて誰にもわからない。時計が全部止まってるし、もしかしたら時間自体が進んでないかもしれないんだからな」


いきなり結論をぶつけて、他の3人はわけがわからないと言った様子だ。


「え、えっと。ほら、地震の後に、明るかった空が急に真っ暗になったでしょ? あれから、ずっと明るくなる様子がないの。でも、お腹は減るから、食糧をどうするって話をしようかなって」


私の説明も、そんなにわかりやすいものじゃないけど、なんとなくでも理解してくれると助かる。


「そう言えば……お腹減ったな。食べ物をどうするかって、学校には何もないよね?」


真倫ちゃんがそう言って、お腹をさする。


「家に帰って、母さんが作った飯を食うってわけにも行かないんだよな。口うるせぇとしか思わなかったけど、こうなって初めてありがたさがわかるぜ」


そう、こんな状況では家に帰ることもできない。


私達は、パパやママがやっていたことを、自分達でやらなければならないのだ。
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